要 請 書

 

2005(平成17)年10月25日

 

厚生労働大臣  尾 辻 秀 久  殿

 

小鹿島更生園・台湾楽生院補償請求弁護団

代表  弁護士 国 宗 直 子

 

要 請 の 趣 旨

 

1 本日東京地方裁判所民事第38部が言渡したハンセン病補償金不支給処分の取消しを命じた各判決に対し、控訴をしないこと。

2 すみやかに、告示を改正し、小鹿島更生園と台湾楽生院の入所者が補償法による支給対象となることを明確にすること。

3 すみやかに、原告ら及び弁護団との面談の機会をもつこと。

 

要 請 の 理 由

 

 小鹿島更生園入所者と台湾楽生院入所者が「ハンセン病補償法」に基き求めた補償請求に対し、厚生労働大臣による棄却処分がなされたため、東京地方裁判所おいて、その取り消しを求めるハンセン病補償金不支給決定処分取消訴訟が審理されてきたが、本日、同裁判所民事第38部は、上記処分の取消しを命じる原告ら完全勝訴の判決を言い渡した。

 一方、同地裁民事3部は、同様の立場にある朝鮮の小鹿島更生園に収容された人々からの請求を棄却した。

ハンセン病補償法は、日本のハンセン病絶対隔離政策が、ハンセン病患者であった人々に対して耐え難い苦痛と苦難をもたらした歴史を踏まえ、その精神的損害を慰謝すること等を目的として制定されたものであり、その立法趣旨に鑑みれば、同じく日本の絶対隔離政策によって療養所への入所を余儀なくされた朝鮮、台湾のハンセン病患者であった人々を補償対象から除外する理由は全く存在しない。原告らの請求を認容した民事38部の判決は当然であり、棄却した民事3部の判決は、補償法の趣旨を理解しない極めて不当なものというほかない。3部の判決については、控訴を行い、改めて正当な判決を求める所存である。

しかし、原告らの平均年齢は、小鹿島更生園と台湾楽生院を併せて81歳を超えている。補償法の解釈に対する司法判断が分かれたことを理由に、解決を引き延ばすことは許されない。

 大臣は、民事38部の判決を重く受け止め、早急に控訴を断念する決断を行なうべきである。

 また、原告らの請求を棄却した民事3部の判決も、補償法が外地の療養所を除外するものではなく、告示に規定することは、補償法の委任の範囲を超えるものではないことを認めている。従って、すみやかに、告示を改正して小鹿島更生園と台湾楽生院の入所者が補償法の支給対象になることを明確にするべきである。厚生労働大臣が告示を改めることによって本問題はすべて解決する。

本日の歴史的判決をその目で確認するために、韓国、台湾から老齢と重篤な障害をおして10名を超える原告が遠路来日している。4年前の熊本判決の際、時の厚生労働大臣は、当時の「らい予防法」違憲国賠訴訟の原告団と面談し、原告らの生の声を聴いた。本件訴訟の原告らも、我が国のハンセン病隔離政策の同じ被害者である。大臣は、早急に、これら原告らの生の声を聴くべきである。

 以上の次第で、本要請に及ぶものである。

以上