声   明

 10月25日東京地方裁判所においてソロクト・楽生院訴訟に対する判決が相次いで言い渡された。同じ東京地裁で出た二つの判決で結論が分かれた。楽生院訴訟の民事38部は、日本国内の入所者と同じように「ハンセン病法補償」によって償うのが法の趣旨にかなうと判断したが、ソロクト訴訟の民事3部は「国会では旧植民地への補償は議論されなかった」として訴えを退けた。

 当時、旧植民地の療養所への認識がほとんどなかったという。

 「ハンセン病補償法」は、その前文に「われらは、これらの悲惨な事実を悔悟と反省の念を込めて深刻に受けとめ、深くお詫びする」と規定しており、ハンセン病患者であった人々に対して耐え難い苦痛と苦難をもたらした歴史をふまえ、その精神的損害を慰謝すること等を目的として制定されたものである。その立法趣旨に鑑みれば、療養所への入所をよぎなくされた韓国、台湾のハンセン病患者であった人々を補償対象から除外する理由は全くない。

 民事38部の判決は当然であり、棄却した民事3部の判決は、補償法の趣旨を理解しない極めて不当なものというほかはない。「ハンセン病問題検証会議」報告書は、朝鮮半島でのハンセン病の入所者について「日本国内の患者が受けたと同様の人権侵害だけでなく、植民地民族への差別による二重の人権侵害を受けた」と述べている。日本の「らい予防法」による被害は、国籍とは無関係に広がっていたことが明らかになった。熊本判決と補償法の趣旨にしたがえば、補償対象は、当然日本が統治していた地域のすべての患者に及ぶべきである。ソロクト・楽生院訴訟に立ち上がった原告たちは、「らい予防法」によって強制隔離され、収容施設の中では、私たち以上に、言語に絶する弾圧を受け辛酸をなめてきた。それは強制労働であり、懲罰としての患者の監禁、断種、堕胎にとどまらず、額や肩に焼きゴテまで押し当て、神社参拝を拒めば気を失うまで殴られたという。台湾でも入所者は同じ状況に置かれていたと原告たちは証言している。私たちは、このような歴史的国家犯罪を直視し、決して闇に葬らせてはならないと考える。

 日本政府は、植民地における強制隔離政策の犠牲者たちに謝罪し、補償法による償いを直ちに実行すべきである。この問題が抜本的に解決しない限り日本のハンセン病問題は決して終わることはない。

 国がいまおこなうべきことは明白である。一つは、「楽生院訴訟」の判決を真摯に受けとめ控訴をしないこと。いま一つは、日本の「らい予防法」による被害者を区別することなく「ソロクト訴訟」の関係者全員を補償対象とすることをすみやかに宣言することである。

 また国会に対しても、補償法制定時の「悔悟と反省の念」に立ちかえり台湾・韓国の被害者を補償法により救済することを明確にし決議することを強く求めたい。全療協は被害者がもれなく救済され全面解決するまでたたかい抜く決意である。以上、声明する。

                       

全国ハンセン病療養所入所者協議会


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