声  明

 

                                    2005(平成17)年11月5日

小鹿島更生園・台湾楽生院補償請求弁護団
   代 表   国 宗 直 子

 

 東京地方裁判所民事第38部が言渡したハンセン病補償金不支給処分の取り消しを命じた判決の控訴期限が11月8日に迫っている。

 一部報道機関では、厚生労働省は、控訴を断念すれば、台湾の入所者にハンセン病補償法に基づき、最低800万円の補償金を支払うことになり、補償金額や補償対象者の認定方法に検討の余地がなくなる等との理由から、控訴をした上で和解を目指す方針であると報道されている。

 しかし、厚生労働省のかかる方針は、以下の理由から断じて受け入れることはできない。

 第1に、原告らの早期救済がはかられない。原告らの年齢は平均81歳を超えており、小鹿島更生園の入所者だけでも、補償請求後、既に21人が死亡し、本年8月から現在に至るまで3ヶ月間の死亡者は5名を数えている。控訴して和解協議により解決するという枠組みでは、解決が大幅に遅延し、生きて解決を得たいと願う原告らの悲痛な願いを踏みにじることになる。

 第2に、原告らの平等な救済が実現できない。原告らはわが国の隔離政策の被害者としてわが国のハンセン病患者と同等もしくはそれ以上に過酷な被害を受けてきたものである。この点は、厚生労働省自身が救済の基本的方針の根拠としてあげているハンセン病検証会議最終報告書に明かである。従って、補償法の趣旨や平等原則に照らし、日本国内の療養所の入所者と補償金額の格差をつけることはできない。控訴審における和解により金額に格差を設けることは、新たな差別を生むことに他ならず、補償金額の見直しを目的とする控訴は断じて認めることはできない。

 第3に、補償金支給に当たっての認定方法の問題は、支給審査の段階における技術的な問題にすぎず、必要とあれば別途ルールを策定すれば足りるのであり、解決の枠組み自体を左右するような問題ではなく、到底控訴をする理由とはなりえない。

 控訴断念なくして本問題の救済はない。

 原告らの請求を認容した民事38部の判決はもとより、同3部の判決も現行の補償法下で告示に占領下の療養所を含めて規定することは可能であるとの解釈を示している。

 政府は、控訴を断念して告示改正による早期の平等救済をはかるべきである。今こそ政治的な決断が求められている。

 我々は、控訴期限ぎりぎりまで控訴断念を求めて全力で闘い抜く決意である。                                    以上