2007年3月19日

楽生療養院入所者への行政代執行予告通告に対する韓日弁護団共同声明

 私たちは、韓国、日本のそれぞれにおいて、ハンセン病回復者の皆さんの人権回復のために活動している弁護団です。本日、韓国ソウルに、台湾弁護団と共に集い、韓日台3国弁護団主催のハンセン病問題人権シンポジウムを開催し、4月15日には台北において、同じく3国弁護団によるシンポジウムの開催を予定しています。

このほど、台湾唯一のハンセン病療養所である楽生療養院の入所者に対し、上記シンポジウムの翌日である4月16日までに退去しなければ行政代執行する旨の通告がなされたことを知りました。

楽生療養院は、日本が、誤ったハンセン病の強制隔離絶滅政策に基づいて植民地時代に開設し、台湾内において苛烈な無らい州運動を展開し、それによって台湾社会の隅々にまでハンセン病に対する強烈な差別・偏見を植え付けていったという重い歴史を背負った施設です。楽生療養院に居住しているみなさんは、いずれも、こうして作出されたハンセン病に対する差別・偏見ゆえに、社会から追われ家族との絆を奪われ、回復しても故郷に帰ることができず、療養所にとどまることを余儀なくされた方々です。台湾の陳水偏総統は、2005年10月25日、日本時代に収容された方々の補償請求に対して東京地方裁判所が言い渡した勝訴判決を高く評価すると共に、台湾政府が戦後に行ったハンセン病政策の過ちを認め、被害者に補償する法律を策定する旨の声明を発表しています。ハンセン病に対する差別・偏見は今も台湾社会に深く根付いていますが、それは同じく強制隔離政策のとられた韓国、日本でも変わらず、その解消と、今も差別被害を受け続けているハンセン病回復者の人権の回復は、各国に共通する課題であると共に、かかる社会に住む私たち一人ひとりに課せられている責務でもあります。

 既に高齢に達し、長年住み慣れた居住区において、残された生を穏やかに自分らしく送りたいと願う方々を、その意思に反して強制的に退去させる行為は、こうした責務に著しく反するのみならず、彼らの人格的自律権を根本的に侵害する行為であり、基本的人権を侵すものとの批判を免れません。

 私たちは、台湾政府が、今回の強制退去通告を速やかに撤回し、まずは対象となる入所者一人ひとりの声に耳を傾け、その人権に最大限の配慮をされるよう、ここに強く要望します。

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